以前、iPad Pro 10.5インチを予約したという記事を書きました。
6月13日に入手でき、それから約2ヶ月が経ちました。
今までのiPad以上に満足しており、買い換えて良かったなあと思っています。
これまでMacBook Airを持ち運んで行なっていた作業の大部分を代替できており、むしろ代替以上の使い勝手の良さも感じています。
スペック的な部分はすでに良く書かれた他の記事が多数ありますので、今回はアプリとの組み合わせを中心として、もっと個人的な魅力を紹介したいと思います。
Apple Pencil以前と以降のiPadは、もはや別物
他のiPadになく、iPad Proだけにある一番の特徴は「Apple Pencil」が使えることです。
Apple Pencilを使わないのであれば、わざわざiPad Proを購入する必要はないと思います。
なぜiPad Proと別売りになっているのか理解に苦しむほどです。
正直に言えばApple Pencilにも改善してほしい点はたくさんあります。
ペンとしては長すぎる割に電池の持ちもそれほど良くないし(2〜3日に一度は充電したい)、iPad Proに書き込む時に鳴るコツコツ音が気になります。
でも、それを補ってあまりあるぐらい、利便性が高まりました。
電池の持ちに関しても、少なくなってきたと思ったらiPad Proに挿してしばらく放置すれば良く、充電器やコンセントが要らないのでそれほど負担を感じません。
iPad ProでApple Pencilを充電する際は間抜けな姿になるので、もう少しどうにかならなかったのか、とは思います。
なお、iPad Pro本体の電池の持ちに関しては、やらせていることの負荷に対して「かなり良い」と感じています。
Macbook Airで同じことをすれば、もっと早くバッテリーが尽きてしまいます。
捗るペーパーレス化
iPad Proの購入以降、ノートやメモ帳、そして各種ペン類が不要になりました。
念のためスケジュール管理のバックアップとして紙の手帳も使用してはいますが、それ以外では紙に書き込む機会は全くと言っていいほどなくなりました。
ミーティングの記録に
筆者のiPad Proがもっとも活躍するのは、ミーティングです。
※参加するミーティングは多くても6名ほどの小規模なミーティングです。
Notability – Ginger Labsというメモアプリを使うと、ミーティングの内容を録音しながら、Apple Pencilでメモを取ることができます。
普通のメモとして後から参照することもできますが、筆跡が音声と同時に記録されており、書かれたメモ内容を音声の「頭出し」のような形で利用可能です。
カラオケで曲が進むにつれて歌詞が塗りつぶされていくように、音声が再生されるにつれて描き込みが同時再生されていきます。
レコーダーと紙を一つのデバイスで済ませることができ、「頭出し」という今までにない利便性が加わって便利になりました。
また、ラップトップを机上で開いてミーティングメモを打ち込むよりも、iPad ProとApple Pencilで内容を手書きして行く方が、相手からの心象も良いようです。
ラップトップの場合はどうしても視線や手元がマシンに隠れてしまいがちになりますが、iPad ProとApple Pencilならもっとオープンな印象で相手と話を進めることができます。
また、iPad 10.5インチに買い替え、画面のリフレッシュレートが最大120Hzとなり、Apple Pencilの追従性も若干良くなったとのこと。
そう聞いていたからそう思えるのかもしれませんが、特に急いで文字を書いている時(いわゆる殴り書きに近い時)、以前よりマシな字で筆記できるようになりました。
もともと字が綺麗な人や、丁寧にゆっくり書く人にはあまり違いは感じられないかもしれません。
資料フォルダとしての活用
誰にでも勧められるアプリではないのですが、筆者はDEVONthink To Go – DEVONtechnologies, LLCというアプリをiPad Proに入れています。
これはメインコンピュータにDEVONthinkという文献・情報管理ソフトが入っていることを前提に、DropboxやWebdav等を経由してその内容をiPad Proに同期できるアプリです。
DEVONthink自体が英語での使用を想定して作られており(全て英語表記です)日本語で使用した場合にDEVONthinkのサジェスト機能などのうまみを存分に活用できないため、機能に対してはとても割高な選択になってしまいます。
MacのSpotlightが高性能なので、それできることが対して変わらないというか…。
しかしながら、筆者はそれなりに便利に使用しており、なにより内容をiPad Proに同期できる点を気に入っています。
前置きが長くなりましたが、同期できることにより、ミーティングの際に資料を簡単に持ち出せます。
日頃DEVONthinkを使用して情報を管理していれば、持ち出すという意識すらなく、iPad Pro一つで出かけられます。わざわざ資料を印刷してファイルに入れて持って行く必要はありません。
相手との関係性にもよりますが、資料はデジタルデータであれば事前もしくは事後にファイルとして共有しておけばいいので、印刷する必要はそれほど大きくありません。
ウェブもPDFもシームレス
同席者に何かを見せたい場合も、ちょっとしたものであれば、iPad Proの画面を見せればそれで済んでしまいます。
A5を少し大きくした程度の画面サイズですが、こういった場合に9.7よりも10.5の方が若干有利かと思います。
特にDEVONthinkはウェブページへのショートカットも書類のようにファイリングできるので、当日に見せたいページを管理するのにも楽です。
ウェブ制作関連のミーティングが殆どなので、実際のウェブページを見ながら話をする場合も、iPadであれば、相手が「自然と」画面にタッチして操作することが可能です。
もちろんApple Pencilを手渡して、PDFに直接書き込んでもらうこともできます。
ラップトップだとこうはいきません。
配布資料もカメラで簡易デジタル化
自宅にスキャナーがあればそれを使えば良いのですが、そうでない場合も、iPad Proのカメラで撮影してしまえば、とりあえず読めるぐらいの状態で配布資料をデータとして取り込むことが可能です。
取り込んだデータを前述のDEVONthinkアプリに保存すれば、メインマシンにも自動的に同期されます。
取り込んだら紙資料はシュレッダーにかけて処分してしまいます。
配布される資料の全てを残しておかなければいけないシチュエーションはそう多くありませんので、必要だと思う箇所を撮影して残しています。
もし後日、配布資料をデジタルデータで貰えるようなら、それをDEVONthinkに入れます。
通話のメモに
自宅での仕事中は、iPad Proをデスクの傍に置いています。
電話がかかってきた時はNotabilityアプリを開き、メモをとります。
今までは、紙のメモ帳の空きページやデスクの上に置いてあった資料の余白にとっさにメモしてしまいがちだったのですが、iPad Proを導入してからは全てのメモが1つの場所にまとまるようになりました。
時系列でメモを並べることもできますので、後から見るときも探しやすいです。
純正のメモ帳アプリもなかなか良いと思います。
仕事の通話は主にiPhoneに入れたIP電話SMARTalk で受けています。
(正確にはSMARTalkの通信情報をAcrobits Softphone – SIP phone for VoIP calls – Acrobitsというアプリに入力して、そちらで受けています)
こうすると通話を自動録音した上で自分のメールアドレスにMP3として送信できます。
聞き逃してしまったところや、書き漏らしてしまった言葉も、必要であればあとでもう一度音声を聴きながら整理できます。
電子データで書き込まれるため、一度書いた文字や絵を切り取って別の場所に動かしたり、消しゴムツールで消すにしても綺麗に消えるため、あとで見返しやすい形でメモを残せます。
デスクの上に複数のペンやマーカーが散らばることもありません。
キーボードも、意外と使える
純正のSmart Keyboardを、カバーを兼ねて使用しています。
9.5インチ時代はミニキーボードだったものが、10.5インチになったことで、小さめながらも一応フルサイズ枠のキーボードになりました。
ブラインドタッチ派なので、iPadのソフトウエアキーボードはとにかく使いづらく感じていました。
Smart Keyboardの購入後は、文章を打つのが快適になりました。
リビングでくつろぎながら、あるいは打ち合わせのちょっとした待ち時間に。
サブの端末としては充分な打ち心地です。
キーボードにバックライトがないことに関しても、ブラインドタッチなので全く気になりませんでした。
筆者は絵文字を使うことはほぼ無いので、iPadのキーボードの設定から、「英語」と「日本語(ローマ字)」に絞って使用しています。
こうする事で変換切替時の選択肢も減るので、早く切り替えられるようになります。
引用元:Apple公式ヘルプのスクリーンショット
Smart Keyboardは簡易的なiPadスタンドとしても使用できます。
折りたたみ方にコツが必要ですが、慣れてしまえば簡単です。
また、上図の左の「文字入力」の状態になっていない時はキーボードを使ってのキー入力が無効になるため、折りたたむ際等にキーを押してしまっても大丈夫です。
筆者は、上図の右の「観る」の状態から90度右に倒した状態で使うことが多いです(この記事の一番上の写真がその使い方です)。
Smart Keyboardをつけてしまうと重くなるという欠点があります。
これに関しては、マグネットで簡単につけ外しできるものなので、キーボードが不要な時は外して横に置いておく・あるいはしまっておけばいいと思います。
キーボードをつけた状態で使うということは、常に机上に置いて使う状況なので、特に重さに関しては気になりません。
カバンに入れて持ち運ぶにしても、せいぜい250gがプラスされる程度です。
500mlペットボトルの持ち運びと比べて、半分の負荷です。
個人的には、増えたところで大したことはないと感じます。
日本語切替には違和感
強いて言えば、日本語と半角英数が混じった文章を書くときの文字の切り替えに違和感があります。
メインマシンではAの真横にCtrlがあるタイプのUSキーボードを使っており(画像下段)Ctrlとスペースで言語を切り替えているのですが、Smart Keyboardでは🌐マークを押すか、もしくは最下部のCtrlとスペースの同時押しで切り替える必要があります。
Smart Keyboardでの文字の切り替えは、どちらにしても押しにくい場所にあります。
ただ、これに関しては、むしろ日本語入力状態のまま単語を入力してしまい、変換候補に現れる半角英数の候補を選んで確定して行くほうが楽だと気づきました。
例)「cあt」と入力して「cat」を変換候補から選ぶ
iPadならではの利点としては、カーソル位置を画面へのタッチで決められることですね。
デスクトップマシンの場合は、矢印を連打してカーソル位置まで移動するか、もしくはキーボードから右手を話して、横のトラックパッドまで手を置きに行って位置を決める必要があります。
iPadの場合は、キーボード直上にある画面の目標位置を直接タッチすれば良いので、手の移動距離や時間が少なく済みます。
また、Macと同様にCommand+スペースでSpotlight検索も使用でき、同様にアプリの切替もCommand+tabで出来るため、使い勝手が良くなります。
(Macでもアプリケーションの立ち上げにはDock等を使わず、Spotlight検索から起動しています)
長文を書くなら1Writer
iPad Proでブログの文章等の長文を下書きする際には、Markdown形式で入力できる1Writer – Note taking, writing app – Ngoc Luuというアプリを使っています。
もちろん純正のメモアプリでも文字入力は快適に行えます。
1Writerは優れている点は、書くということに専念でき、さらにMarkdown入力に対応し、Dropbox経由で自動同期できるという点です。
どんなアプリでも、原則として単機能の方が動作が安定するので、安心感も増します。
(書いた長文が消えると悲しいですからね)
Dropboxで同期すれば、メインマシンのテキストエディタ(Atom)で続きを書くこともできますし、リビングでiPadを使ってその続きを書くこともできます。
期待が高まるiOS11
Slide OverやSplit Viewなど、現時点でのマルチタスキングの使い勝手も、まずまず便利です。
これから配信されるiOS11によって、よりインターフェイスがPCライクになり、マルチタスキングも強化されるものと思います。
実際に使ってみないとなんとも言えませんが、この秋の登場を楽しみにしています。
上記のアップデートでより複数のアプリを同時に使う機会が増えることを見据えると、今からスペックの低いiPad Pro 9.7インチを(安いという理由以外で)買う理由はないのでは、と思います。
読書端末としてのiPad Pro
引用元:Kinoppy公式サイト
読書端末としても、iPad Proを多く活用しています。
ほんの少しの違いですが、ここでも9.7よりは10.5の方が画面が広く、より見やすくなったと感じます。
今まで自炊したPDF書籍やePub形式で保存している書籍がかなりたくさんあり、それらのファイルをDropboxにて入れた後、紀伊國屋書店Kinoppyアプリで読んでいます。
Kinoppyも本来はKinoppy(紀伊国屋書店)上で購入した電子書籍を読むための電子書籍リーダーアプリなのですが、ePubやPDF等のデータのDropbox経由でのインポートにも対応しており、さらにPC版とiPad、iPhone版の間で同期もできます。
Dropbox経由でKinoppyを使う事の利点は、iPad本体の容量を食わないことです。
Kinoppy上で本棚に並べられた本の実体は、クラウドであるDropboxに置いておけます。
このため、読みたい本のデータだけを読むときに都度ダウンロードでき、読み終わったらiPad本体からは書籍データを削除できるため、本の表紙の画像データぐらいの容量をしか食いません。
Kinoppyは無限スクロールで文章を読める点もとても気に入っています。
ページめくり方式の場合、視線を動かしながら内容を読む形になりますが、無限スクロール形式であれば視線を固定して文章を読めるため、疲れにくくなります。
もともとラップトップで読書する人はそう多くないと思いますが、やはり読書に関しては、薄くて軽く綺麗なディスプレイで表示できるiPadに分がありますね。
RSSリーダーとして
現在はメインマシンのDEVONthinkにフィードを登録し、それを同期する形でRSSリーダーとして使用しています。
以前はFeedly – Get Smarter – DevHDをRSSリーダーとして使用していました。
DEVONthinkにRSSリーダーの機能がついているため乗り換えましたが、Feedlyのシンプルかつ必要十分な機能には何の不満もありませんでしたので、オススメです。
64GBで足りてます、むしろ余ってます
今回はiPad Proのラインナップ中、1番容量の少ない64GBモデルを購入しました。
64GBで足りるの?と聞かれることもありますが、むしろ余らせています…。
今現在使用しているのが10GB、残りが50GBほど。
というのも、主にクラウドを活用しているからだと思います。
音楽:Apple Music(iTunes Match)でクラウドからストリーミング
写真:iCloud経由で、iPadには圧縮されたデータを同期
動画:各ストリーミングサービスで視聴
書籍:Dropbox上に置き、都度ダウンロード
書類:DropboxやWebDAV上に置き、DEVONthinkで都度ダウンロード閲覧。もしくはiCloud。
その他にもアプリは入っていますが、それほど容量は食いません。
本格的な作業の場合はデスクトップマシンを使いますので、iPad Proは子機のような扱い方をしています。
どこでも持ち運べるポータブル・テレビデオ(??)としてもiPad Proは優れており、特にスピーカーに関しては、ヘタな外付けミニスピーカーよりもよほど広がりのある良い音だと感じます。
室内で運動する際、映像を見ながらストレッチ系など床での運動をしたい場合も、iPadなら、棚の上でも床でも、適当な見やすい位置に置けます。
普通のディスプレイの場合はそう簡単に移動できません。
ケースやフィルムは不要
元々、iPhoneはケースやフィルムをつけずに使う方です。
たまに面白そうなケースを見つければ試しますが、結局「放熱性が悪くなる」「画面が汚く見え、反応が悪くなる」「本体が厚くなる」等の理由から、外してしまいます。
iPhoneやiPadについて、個人的には鉛筆やハサミと同じ「道具」の一つだと認識しているので、例えばそれ自体に細かな擦り傷がついたとしても、使える機能に影響がないのであれば特に問題ないと思っています。
もちろん大事にはしますし、敢えて傷つけるような事はしませんが、傷に対して神経質になるあまり本来の性能を失うのであれば本末転倒です。
iPad Pro10.5インチに関しても、当初は何種類かケースやペーパーライクフィルムを試しましたが、「やはり裸で使うのが1番だ」という結論に達しました。
iPhoneの場合は手に持って使う事が多く、外出先で出し入れする機会も多くありますが、iPadの場合は机に置いた状態で使う事が多く、外出先でも出し入れの機会は(iPhoneほどは)多く無く、やはり机に置いて使うため、そもそも落下の危険性はiPhoneよりも少ないです。
ペーパーライクフィルムも、確かにApple Pencilで書きやすくはなるのですが、色が滲んだように見えたり、光の三原色のように色が細かく分解されて見えることがあり、満足いくものはありませんでした。
もし、その日に小さな子供に会う予定があるなら、お互いのためケースをつけて外出することもあるかもしれませんが(落として壊してしまったら相手に対しても気の毒です)、家に帰れば外すと思います。
※AppleCare+ for iPadには加入済です。
結論:iPad Pro単体で仕事は完結できないけれど、良き相棒になる
ここまでべた褒めしておきながらも、iPad Pro単体持ちでは仕事にならず、母艦となるデスクトップマシンやラップトップありきだと思います。
具体的にはHTML・CSSエディタやFTPソフト、Terminal、Apacheなどの開発環境すらiPad Pro本体にはインストールできないからです。
エディタやFTPソフトに関しては、無くはないのですが、仕事で使うには不安が残ります。
その他の一般的なオフィスウエア、Microsoft Excelアプリ等もありますが、PC版の機能が完全に再現されているわけではありません。
もし数日間、あるいは丸一日でも自宅に戻れない状況で外出するなら、iPad ProではなくMacBook Airを持っていきます。
何か緊急で対応が必要な事態が起きた場合、最低でも上記の作業ができないと困るからです。
逆に、半日くらいまでの外出や、緊急対応が起きないであろう日であれば、もうMacBook Airを持っていくことはありません。
筆者が持っている古いMacBook Airと比べれば、iPad Proの方が電池の持ちが遥かに良いし、画質もキレイで高スペックでApple Pencilも使えて、セルラーモデルなのでSIMを使って直接通信もできるからです。
iPhoneでテザリングするという手もありますが、筆者の場合はiPhone SEというバッテリー容量の小さなモデルを持ち歩いているため、テザリングするとすぐにバッテリーが減ってしまいます。
旅行外泊時以外でのMacBook Airの出番は殆どなくなり、iPad Proを持ち歩くようになりました。
自宅内でも外でも持ち歩いて愛用しているだけにディスプレイも汚れがちなのですが、そんな時はEIZO Screen Cleaner モニタークリーニングキット[SCKIT]で画面を綺麗にしています。
もともとEIZOのモニタ用に作られた商品で、iPadを含むその他製品に使って良い保証はないのですが、手早くピカピカになるので自己責任のもと使用しています。
今のところ特に画面への影響は感じません。